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国家知識産権局が2020年度上半期データを発布

 

国家知識産権局が2020年度上半期データを発布



7月9日、国家知識産権局は2020年度第3四半期の定例発表会を行い、専利、商標、地理的表示、集積回路配置設計の半年間の統計データ、及びそれらのデータが示した中国の知的財産事業の発展動向と進展状況を発表した。

 

データによると、2020年上半期、中国の主要知的財産指標は予期した通りであり、知的財産事業は安定的に発展している。

 

専利の面
2020年上半期、中国の発明専利出願の件数は68.3万件であり、授権された発明専利は21.7万件あった。そのうち、国内発明専利授権件数は17.6万件であった。国内発明専利授権案件の中、職務発明は16.9万件あり、96.0%を占め、非職務発明は0.7万件あり、4.0%を占めている。上半期に、国内(香港、マカオ、台湾を除く)発明専利授権件数のランキングトップ3に入ったのは、華為技術有限公司(2,772件)、OPPO広東移動通信有限公司(1,925件)、京東方科技集団股分有限公司(1,432件)であった。 
2020年6月末現在、中国国内(香港、マカオ、台湾を除く)の有効発明専利件数は199.6万件であり、1万人あたりの発明専利保有数は14.3件に達した。上半期、中国国内の1万人あたりの発明専利保有件数を省別に分析した結果、ランキングトップ3に入ったのは、北京市(141.5件)、上海市(56.1件)、江蘇省(31.9件)となっている。
2020年上半期、PCT国際専利出願の受理総数は2.95万件であり、同期比で22.6%増であった。そのうち、国内出願件数は2.68万件であり、同期比で20.7%増であった。上半期、PCT国際専利出願の受理総数の上位3省(区、市)を順に並べると、広東省(1.09万件)、北京市(0.38万件)、江蘇省(0.33万件)となっている。
上半期、不服審判請求の受理総数は2.62万件であり、結審案件件数は2.57万件であった。無効審判請求の受理総数は0.26万件であり、結審案件件数は0.43万件であった。中国発明専利の審査周期は20.3ヶ月であり、高価値発明専利の審査周期は15.2ヶ月であり、実用新案の審査周期は6.4ヶ月であり、意匠の審査周期は3.2ヶ月である。

 

商標の面

上半期、中国の商標登録出願件数は428.4万件であり、商標登録件数は262.9万件であった。2020年6月末現在、中国で有効な商標登録件数は2741.4万件であった。
中国出願人の
マドリードプロトコルによ商標国際登録出願件数は3875件であり、同期比で36.0%増であった。2020年6月末現在、中国出願人のマドリードプロトコルによ商標国際登録件数は4.1万件であった。

上半期、受理した各種の商標審査案件の出願件数は16.6万件であり、審決が下された案件件数は19.2万件であった。商標登録の平均審査周期は安定的に4.5ヶ月以内に収められた。

 

地理的表示の面

上半期、国家知識産権局で地理的表示製品の専用表示の使用許可を得た企業は322社であった。2020年6月末現在、地理的表示製品の累計許可数は2385個であり、専用表示の使用許可を得た企業は8811社あり、地理的表示商標の累計登録件数は5682件であった。

 

集積回路配置設計の面

2020年上半期、中国の集積回路配置設計登録出願件数は5176件であり、同期比で78.2%増であった。登録件数は5262件であり、同期比で111.6%増であった。

 

知的財産権の保護と運用の面

上半期、全国各省(区、市)の権利侵害紛争行政裁決の総件数は5320件であった。

全国で専利と商標の質入金額は853億元であり、同期比で45%増であり、質入項目数は4678項であり、同期比で52%増であった。そのうち、専利質入金額は651億元であり、同期比で61%増であり、質入項目数は4171項であり、同期比で54%増であった。商標質入金額は202億元であり、同期比で8.8%増であり、質入項目数は507項であり、同期比で34%増であった。

 

 

2020年上半期の統計データは主に4つの特徴がある

 

 

中国における商標と専利出願の全体的形勢は安定的である。

上半期、中国における発明専利、実用新案、意匠の出願件数は219.5万件であり、商標の出願件数は417.0万件であり、専利と商標出願の全体的形勢が安定しており、中国の市場主体は積極的に新型コロナウイルスに対応して、仕事と生産の再開の推進を加速していることを十分に示せる。

 

国内企業が専利出願の主体として地位が継続的に強化されている
上半期、国内で専利出願した企業は22.9万社であり、同期比で3.2万社増加した。国内企業が提出した発明専利出願の総件数は40.4万件であり、同期比で12.0%増であった。国内発明専利出願のうち、企業が占めている比率は66.6%であり、同期比で3.2%増であり、国内企業が専利出願の主体として地位が継続的に強化されていることを示した。

 

地理的表示の専用表示の使用規模は徐々に拡大している

上半期、中国で地理的表示製品の専用表示の使用許可を得た企業は322社あり、同期比で明らかに116社増加した。地理的特徴が明らかであり、人文的特徴が鮮明であり、品質特性が突出した地理的表示に対する保護を強化することを通して、地理的表示の件数は着実に向上しており、地理的表示、専用表示を使用している主体数は継続的に増加し、規模は徐々に拡大していることを示した。

市場主体の海外における知財ポートフォリオが着実に発展している
上半期、中国出願人が国家知識産権局に提出したPCT国際専利出願は2.68万件であり、同期比で20.7%増であった。
マドリードプロトコルによって提出された商標国際登録出願は3875件であり、同期比で36.0%増であった。全部速い速度で増加している。中国市場主体が海外における知財ポートフォリアに関する意識が絶えずに向上しており、知財ポートフォリア状況が着実に改善されていることを示した。 

 

史上最長期間を経た専利法改正

 

 

報道によると、2020年6月28日に第13期全人代第20回会議で、専利法修正案草案に関する第二回の審議が行われた。草案の第二回審議案に、局部意匠の保護に関する規定が増加され、専利権利侵害に関する法定損害賠償額の最低限度は10万元である規定が取り消された。また、草案に単位[1]側が職務発明に対する処置権が明確され、同時に、専利開放許諾制度が初めて導入された。

 

現行の専利法文書は2008年の文書であり、1984年中国が初めて専利法を公布して以来、1992年、2000年、2008年に3回の改正が行われ、今回は専利法の4回目の改正である。最初の改正情報を遡ると、2012年8月10日に国家知識産権局のホームページで公布された『中華人民共和国の専利法改正草案(意見募集稿)』に対する意見募集通知となる。2012年の意見募集案の条文が少なかったが、全体から見ると、専利法の改正方向が確定されたと言える。

 

2012年から7年が経過しており、史上最長期間を経た専利法改正となるかもしれない。国際的な要素の影響を受けた以外、中国の専利法に対する重視と新法制定に対する慎重さが見られ、法律の条文を検討し、専利制度を通じて科学技術の革新を激励しようとする姿も見られた。 

 

草案で増加された部分

局部意匠の保護に関する規定が増加された。

 

草案で取り消された部分

専利権利侵害に関する法定損害賠償額の最低限度は10万元である規定が取り消された。

 

草案で明確された部分

単位側は職務発明創造の専利出願権や専利権を法により処置し、関連発明創造の実施と運用を促進することができる。また、政府は、専利権が付与された企業が所有権による激励を実施し、株式、オプション、配当等の方式によって、発明者又は考案者に合理的に革新の収益を共有させることを激励する。

 

今回の専利法改正に、専利開放許諾制度が新設された。

専利権者が書面にて国務院専利行政部門に単位個人を問わず、その専利の実施を許諾する意思があると声明し、許諾使用料の支払方式、基準を明確にした場合、国務院専利行政部門は公告し、開放許諾を実施する。単位個人を問わず、開放許諾専利を実施する意思があり、書面にて専利権者に通知し、かつ公告された許諾使用料の支払方式、基準に従って許諾使用料を支払った場合、専利実施許諾を受けたとされる。

草案の規定

開放許諾期間中において、専利権者は当該専利について、被許諾者と許諾使用料について合意した後に、通常許諾できるが、当該専利について独占又は排他的許諾をしてはならない。

草案の規定

国務院専利行政部門は、専利情報の公共サービス体系の構築を強化し、専利情報を完全で、正確に、遅滞なく公表し、専利基礎データを提供し、専利公報を定期的に発行し、情報の伝播と利用を促進しなければならない。

 

草案で、専利権を濫用して公共利益や他人の合法的な権益を害してはならない等の内容が明確された。

今回の審議案で、職務発明に対する単位の処置権を明確したことで、専利開放許諾制度を導入して専利の実施と運用を促進することを目指しており、最終的な目的は専利制度を通じて革新を激励して、革新者に法的保障を提供することである。

 



[1]「単位」とは、「個人」に対応する概念であり、ここでは主に従業員が所属する会社、大学、研究所その他各種機関を指す。