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最高人民法院知識産権法廷年度報告(2019)のあらまし

 

 

最高人民法院知識産権法廷年度報告(2019)のあらまし

  


416日、最高人民法院は『最高人民法院知的財産法廷の年度報告(2019)』、『最高人民法院知的財産法廷裁判要旨(2019)』の要点を発表した。また、最高人民法院知的財産法廷の裁判規則ベース(以下は「知己」裁判規則ベースと称する)がオンラインされた。

 

一、知的財産法廷の「知己」裁判規則ベース

 

今回にオンラインされた「知己」裁判規則ベースは中国で始めの技術類知財案件裁判規則の収録、整理と発表を専念するデータベースである。最初にオンラインされた規則には、知的財産法廷が2019年に作成した最も典型的な意義と指導的な意義のある裁判文書と裁判規則が収録された、先行判決と訴訟中の行為保全、特許の権利侵害と権利確定合併審査インターネット通信方法特許の権利侵害、植物新品種権の保護範囲など業界が関心を持っている重要な法律問題が含まれている。

「知己」裁判規則ベースのオンラインと応用が、技術類知財案件裁判標準を統一するための重要的な措置と技術類案件裁判の品質と効率を上げるための有力的な保障である。裁判規則ベースに基づき、裁判官が強制類案件の検索仕組、典型的な判例の指導仕組と裁判規則ベースと案件処理システムの深い融合を推進することに役に立てる。未決案件と知能的にマッチング、自動的に既存する裁判規則のプッシュを実現し、裁判標準と尺度を有力的に統一する。

「知己」裁判規則ベースは革新的に技術類案件の審判「規則マインドマップ」を作成し、規則の全貌を直感的に現れ、裁判官が「自発的な勉強」を行い、規則システムを速く把握するのに便利である。階層と地域を越えて高率的に同類案件の争議を解決することに力を添える。更に最高人民法院知的財産法廷は各高級法院、知的財産法院と専門法廷の間に「176[1]を協力的に建設することを推進する。同時に、「知

己」裁判規則ベースはオープンな構成をデザインされ、未来の裁判規則(最高法院の判決でもある、全国の第一審法院の発効した判決でもある)が次々と現在の規則システムに補充されることができる。


二、最高人民法院は最高人民法院知的財産法廷の年度報告(2019)を発表した

 

特許などの技術類知財案件の裁判標準を統一するのは、最高人民法院知的財産法廷が設立した重要な目標である。2019年、最高人民法院知的財産法廷は司法審判機能に立脚点を置き、法に従い公正且つ効果的に一部の専門技術性の高い知財案件を結審した、一部典型的な模範作用がある見本判決が形成され、「統一的な裁判標準システム工程」を建設して実施し、更に技術的知財案件の裁判尺度の統一を推進する。紙幅の関係上、以下が案件の統計データ及び案件の特徴分析のみに対して相応的に紹介する。

年度報告により、最高人民法院知的財産法廷は2019全年度に技術類知財案件を1945件受理し、1433件結審し、結審率は73.7%であった。その内、民事二審実体案件を962件受理し、586件結審した;行政二審案件を241件受理し、142件結審した;管轄権異議二審案件を481件受理し、446件結審した;その他類型案件を261件受理し、259件結審した。

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1.案件データの統計分析

1)案件出所の統計分析

2019年、法廷が各類の二審案件を1684件受理した。その内、1678件の一審法院が中級人民法院であり、比率は99.6%であった、6件の一審法院が高級人民法院であり、比率が0.4%であった。

案件出所の地域に対して分析すると、案件数ベスト10位はそれぞれ北京知的財産法廷(376)、広州

知的財産法廷(297)、上海知的財産法院(143)、南京知的財産法廷(107)、深セン知的財産法廷(96)、宁波知的財産法廷(85)蘇州知的財産法廷(71)、杭州知的財産法廷(70)、青島知的財産法廷(67)、済南知的財産権法廷(53)。上記のデータは技術類知財紛争が全国に分布する状況を大体に

反映した、更に、経済が発達している地域であればあるほど、技術類知財に関する経済活動が活発になり、関連する紛争も増えている。

 

2)案件類型の統計分析

法廷で受理した962件の民事二審実体案件の中、実用新案権侵害に関する紛争は454件あり、発明特許権侵害に関する紛争は234件あり、コンピューターソフトウェアに関する紛争は142件あり、専利代理と許可契約に関する紛争は40件あり、技術契約に関する紛争は26件あり、植物新品種権に関する紛争は20件あり、技術秘密に関する紛争は12件あり、独占に関する紛争は9件あり、専利出願権と専利権所属に関する紛争は9件あり、非権利侵害の確認に関する紛争が8件あり、職務発明者の報酬に関する紛争が7件あり、集積回路配置設計に関する紛争が1件あった。その内、比率が高い紛争の類型はそれぞれ実用新案権侵害に関する紛争(47.2%)、発明特許権侵害に関する紛争(24.3%)、コンピューターソフトウェアに関する紛争(14.8%)である。

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法廷で受理した241件の行政二審案件の中、行政権利付与と権利確定に関する案件は230件あり、行政処罰に関する案件は7件あり、他の行政案件は4件あった。行政権利付与と権利確定に関する案件の中、発明特許権無効に関する行政紛争は80件あり、発明特許出願の拒絶査定不服審判に関する行政紛争は71件あり、実用新案権無効に関する行政紛争は57件あり、実用新案出願の拒絶査定不服審判に関する行政紛争は9件あり、意匠権無効に関する行政紛争は13件あった。その内、比率が高い紛争類型はそれぞれ、発明特許権無効に関する行政紛争(33.2%)、発明特許出願の拒絶査定不服審判に関する行政紛争(29.5%)、実用新案権無効に関する行政紛争(23.7)であった。

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3)裁判結果の統計分析

2019年、法廷では二審案件を1174件結審した。その内、原審を維持する裁判方式で結審した案件は731件あり、訴訟を取り下げる方式で結審した案件は280件あり、調停の方式で結審した案件は71件であり、調停と訴訟を取り下げる比率は29.9%であり、原審裁判所に戻して再審したから判決を変更する方式で結審する案件が92件であり、戻して再審したから判決を変更する比率は7.8%であった。法廷が戻して再審したから判決を変更する92件の中、民事二審実体案件は66件あり、管轄権異議二審案件は21件あり、行政二審案件は5件あった。

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法廷で結審した586件の民事二審実体案件の中、原審を維持する裁判方式で結審した案件は236件あり、訴訟を取り下げる方式で結審した案件は213件あり、調停の方式で結審した案件は71件であり、調停と訴訟を取り下げる比率は48.5%であり、原審裁判所に戻して再審したから判決を変更する方式で結審する案件が66件であり、戻して再審したから判決を変更する比率は11.3%であった。

法廷で結審した142件の行政二審案件の中、原審を維持する裁判方式で結審した案件は126件あり、訴訟を取り下げる方式で結審した案件は11件あり、判決を変更する方式で結審した案件は5件あり、判決を変更する比率は3.5%である。

法廷で結審した446件の管轄異議二審案件の中、原審を維持する裁判方式で結審した案件は369件あり、訴訟を取り下げる方式で結審した案件は56件あり、原審の裁定を取り消してから判決を変更する方式で結審した案件は21件あり、原審の裁定を取り消してから判決を変更する比率は4.7%である。

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(4)審理周期の統計分析

2019年、法廷二審実体案件の平均的審理周期は73日であり、管轄権異議二審案件の平均審理周期は29.4日であった。裁判官一人当たりの結審案件数は39.2件であった。


(5)外国、香港、マカオと台湾の案件統計分析

2019年、法廷は外国、香港、マカオと台湾の案件を共に174件を受理した。その内、民事二審実体案件は50件あり、行政二審案件は52件あり、管轄権異議二審案件は71件あり、その他の案件は1件あった。地域により統計すると、欧州連合国家の案件は75件あり、アメリカの案件は54件あ

り、日本の案件は15件あり、韓国の案件は4件あり、カナダとイスラエルの案件はそれぞれ2件あり、オーストラリアと南アフリカの案件はそれぞれ1件あり、香港、マカオと台湾の案件は20件あった。

法廷は外国、香港、マカオと台湾の案件を共に98件を結審した。その内、実体案件を35件結審した、外国の当事者は勝訴した案件(一部勝訴を含む)は21件あり、香港、マカオと台湾の当事者は勝訴した案件は3件あり、中国大陸の当事者は勝訴した案件は11件あった。

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2.案件特徴の分析

全体の案件特徴

1関連する技術分野が広い

2、案件の会社への影響が大きい 

3、異なる審判級別と手続を交差する案件が多い

4、案件の審理周期が短い

5、国内外の当事者の合法権利が平等に保護される

6、司法保護力を向上する傾向が明らか

特許民事案件の特徴

1、請求項の解釈と均等権利侵害の判定を主な争点とする案件が多い

2、合法的出所抗弁、先行技術抗弁と先使用権抗弁が最もよく使用される抗弁理由

3、商業権利を守る特徴とする関連案件は一定の比率を占める。

特許行政案件の特徴

1、発明特許とハイテク企業に関する分野の案件が多い。

2、多数の案件は進歩性の判断を主な争点とする。

3拒絶査定不服審判の案件の中に自然人を出願者とする案件が多い。

 

紙幅の関係上、以上が年度報告内容の一部のみに対して紹介したが、年度報告の詳細な内容にご興味があれば、添付する年度報告の中国語と英語の対照版をご参照ください。

 

三、『最高人民法院知的財産法廷裁判要旨(2019)』の要点

 

201911日、中央の策略配置により、最高人民法院知財法廷が正式的に成立した、統一的に全国範囲内の特許など専門技術性の高い知財上訴案件を審理する。一年以来、最高人民法院知財法廷が確実的に審判システムと審判能力の建設を強化することを通し、法に従い、一部重要的な影響がある技術類知財案件を結審した、知的財産の保護力を大いに向上した、技術的知財案件の裁判尺度の統一を次々と推進し、厳格的に知的財産権の保護、革新駆動発展戦略への服務、国際一流ビジネス環境の作りに重要な貢献を立てた。

最高人民法院知財法廷2019年の技術類知財審判仕事の主な特徴は以下となる:一、特許民事案件に請求項に関する解釈は核心的な問題である、均等権利侵害の適用は重要的な争点である、先行技術抗弁、先使用権抗弁と合法的出所抗弁が最もよく使用される抗弁理由である、特許への司法保護力を向上する傾向が明らかである;二、特許行政案件に進歩性の判断は核心的な問題である、司法が行政への監督職能は更に強化される;三、植物新品種権案件に現れた法律問題が更に多様化になる、技術事実の究明と権利侵害性質の認定は当該案件の審理難点である;四、技術秘密案件の手続き規則は更に明確になり、技術秘密の非公開性と権利侵害方式の蔽性により、実際の審理には難しいである;五、コンピュータソフトウエア案件の争点が集中である、契約約定の明確さと技術事実の究明の難易度の差が大きいであるため、個案の審理難易度の差が大きいである;六、技術契約案件に技術的問題の違約事実の究明に関するのは案件審理の重点と難点となる;七、管轄等の手続き案件の数量と類型が多いであり、最高人民法院知的財産法廷は十分に制度の優勢と職能の作用を発揮し、審判の資源を合理的に管理し、権利者の権利保護を十分に保障する政策の傾向が明らかである。

「最高人民法院知財法廷裁判要旨(2019)」の要約には、最高人民法院知的財産法廷2019年結審した技術類知財案件の中から36件の典型案件を精選し、40条の裁判規則を抽出し、最高人民法院知的財産法廷は技術類知財分野で新型、難しく、複雑な案件を処理する時の司法理念、審理の考えと裁判方法が反映された。更に技術類知財案件の裁判標準の統一と審判品質と効率の向上に対して規則の導きを提供した。



[1]注釈:1、中国には32個の高級人民法院と44個中級人民法院が技術類知財案件の一審に対する管轄権を持っている、法廷を上訴機構とする「176」の審判構成は初歩的に作り上げた、徐々に統轄連動仕組の優勢と全体能率を発揮する。