
全部で二十九箇所の専利法の改正と対照
今回、専利法は以下のように二十九箇所で改正された。
一、第2条第4項を次のように改正した。意匠とは、製品の全体又は局部の形状、図案又はその結合及び色彩と形状、図案の結合に対して行われ、優れた外観を備え、かつ工業への応用に適した新たな設計を指す。
二、第6条第1項を次のように改正した。当該単位の職務を執行して、又は主に当該単位の物質・技術条件を利用して完成した発明創造は職務発明創造とする。職務発明創造の専利出願の権利は当該単位に帰属し、出願が認可された場合は当該単位を専利権者とする。当該単位は法に依り職務発明創造の専利出願の権利と専利権を処置し、関連発明創造の実施と運用を促進することができる。
三、第14条を第49条に改正した。
四、第16条を第15条に改正し、1項を加え、第2項とした。国は、専利権の付与された単位が、株、オプション、配当などの形で財産権による激励を実施し、発明者又は設計者にイノベーションによる収益が合理的に分配されるようにすることを奨励する。
五、1条項を加え、第20条とした。専利出願及び専利権の行使は誠実信用の原則に従わなければならない。専利権を濫用して公共の利益又は他人の合法的な権益を損なってはならない。専利権を濫用して、競争を排除又は制限し、独占行為を構成する場合は、「中華人民共和国独占禁止法」に基づいて処理する。
六、第21条第1項にある「及び専利再審委員会」を削除した。第2項を次のように改正した。国務院専利行政部門は、専利情報の公共サービス体系の構築を強化し、専利情報を、完全で、正確に、適時に発表し、専利基礎データを提供し、専利公報を定期的に発行し、専利情報の伝播と利用を促進しなければならない。
七、第24条に1項を加え、第1項とした。(一)国が緊急状態または非常事態にある場合、公共利益の目的のために初めて公開された場合。
八、第25条第1項第5号を、(五)原子核変換方法及び原子核変換方法により得られた物質、に改正した。
九、第29条第2項を次のように改正した。出願人が発明専利又は実用新案専利を中国で初めて出願した日から12ヶ月以内、又は意匠専利を中国で初めて出願した日から6ヶ月以内に、国務院専利行政部門に同様のテーマについてまた専利出願をする場合、優先権を享有することができる。
十、第30条を次のように改正した。出願人が発明、実用新案専利優先権を主張する場合、出願に際して書面による声明を提出しなければならず、かつ最初に出願した日から16ヶ月以内に、最初に提出した専利出願書類の副本を提出しなければならない。出願人が意匠専利優先権を主張する場合、出願に際して書面による声明を提出しなければならず、かつ3ヶ月以内に最初に提出した専利出願書類の副本を提出しなければならない。
十一、第41条を次のように改正した。専利出願人は国務院専利行政部門の出願却下の決定に対して不服である場合、通知を受領した日から3ヶ月以内に、国務院専利行政部門に再審を請求することができる。国務院専利行政部門は再審後に決定を下し、かつ専利出願人に通知する。専利出願人は専利再審査委員会の再審決定に対して不服である場合、通知を受領した日から3ヶ月以内に人民法院に訴訟を提起することができる。
十二、第42条を次のように改正した。発明専利権の存続期間は20年とし、実用新案専利権と意匠専利権の存続期間は10年とし、意匠専利権の存続期間は15年とし、いずれも出願日から起算する。発明専利の出願日から満4年で、かつ実体審査請求日から満3年後に発明専利権が付与された場合、国務院行政管理部門は、専利権者の請求により、発明専利の権利化の過程での不合理な遅延について専利権の存続期間を補償することができる。ただし、出願人に起因する不合理な遅延はこの限りでない。新薬の上市の評価及び認可の審査のために時間がかかった場合、中国での上市の許可を得た新薬の発明専利に対して、国務院行政管理部門は、専利権者の請求により、期間補償を与えることができる。補償期間は5年を超えないものとし、新薬上市後の合計の専利権存続期間が14年を超えないものとする。
十三、第45条、第46条にある「専利再審委員会」を「国務院専利行政部門」に改正した。
十四、第六章の名称を「専利実施の特別許諾」に改正した。
十五、1条項を加え、第48条とした。国務院専利行政部門、地方人民政府専利業務を管理する部門は、同級の関連部門と連携して措置を取ることで、専利公共サービスを強化し、専利の実施及び運用を促進しなければならない。
十六、1条項を加え、第50条とした。専利権者は、国務院専利行政部門に如何なる単位又は個人にもその専利の実施を許諾する意思があることを書面により声明し、実施許諾料の支払い方法、基準を明確にした場合は、国務院専利行政部門は公告し、オープン許諾を実行する。実用新案、意匠専利についてオープン許諾声明を提出する場合は、専利権評価報告を提供しなければならない。専利権者は、オープン許諾声明を取り下げる場合、書面によらなければならず、国務院専利行政部門は公告する。オープン許諾声明が公告により取り下げられても、それ以前のオープン許諾の効力には影響を及ぼさない。
十七、1条項を加え、第51条とした。如何なる単位又は個人が専利のオープン許諾を実施する意思がある場合は、書面により専利権者に通知し、公告された実施許諾料の支払い方法、基準に基づいて実施許諾料を支払うと、専利の実施許諾を取得したものとする。オープン許諾期間中、専利権者が納付する専利年金を減免することができる。専利権者は被許諾者に実施許諾料について協議して通常の実施許諾をすることもできるが、該専利について独占又は排他的許諾をしてはならない。
十八、1条項を加え、第52条とした。当事者にオープン許諾の実施について紛争が生じた場合、まず当事者が協議する。協議を希望しない又は協議が成立しなかった場合は、国務院専利行政部門に調停を申し立てることができ、人民法院に訴えを提起することができる。
十九、第61条を第66条に改正し、第2項を次のように改正した。専利権利侵害紛争が実用新案専利又は意匠専利に関連する場合、人民法院又は専利事務管理部門は専利権者又は利害関係者に対し、国務院専利行政部門が関連の実用新案又は意匠について検索と分析、評価を行ってから作成した専利評価報告を、専利権侵害を巡る紛争を審議し、処理するための証拠として、提出するよう要求することができる。
専利権者、利害関係 人又は被疑侵害者は専利権評価報告を自発的に提出することもできる。
二十、第63条を第68条を改正し、次のように改正した。専利を偽称した場合、法に基づき民事責任を負うほか、専利法執行を担当する部門が是正を命じ公告し、違法所得を没収し、違法所得の5倍以下の罰金を科することができる。違法所得がない場合、又は所得が5万元以下の場合は25万元以下の罰金を科すことができる。犯罪を構成する場合は法に基づき刑事責任を追及する。
二十一、第64条を第69条に改正し、次の上に改正した。専利法執行を担当する部門は、既に取得した証拠に基づいて専利偽称被疑行為を取り締まる場合、以下の措置を取る権限を有する。(一)関連当事者を尋問し、違法被疑行為と関連する状況を調査すること。(二)当事者の違法被疑行為に関連する場所に対して現場検査を実施すること。(三)違法被疑行為と関連する契約や領収書、帳簿及びその他関連資料を閲覧・複製すること。(四)違法被疑行為と関連する製品を検査すること。(五)専利製品の偽称製品であることを証明する証拠があった場合は封鎖するか、又は指し押さえること。専利業務管理部門は専利権者又は利害関係人の請求により専利権侵害紛争処理をするとき、前項第(一)号、第(二)号、第(四)号に掲げる措置を取ることができる。専利法執行を担当する部門が法に依り前二項に規定する職権を行使する場合、当事者は協力し、助力しなければならず、拒否したり、妨害したりしてはならない。
二十二、1条項を加え、第70条とした。国務院専利行政部門は、専利権者又は利害関係人の請求により、全国で重大な影響を及ぼす専利権侵害紛争を処理することができる。地方人民政府の専利管理業務部門は、専利権者又は利害関係人の請求により、専利権侵害紛争を処理する場合、本行政領域における同一専利権の侵害事件に対して、併合して処理することができる。領域を跨ぐ同一専利権の侵害事件に対して、上級の人民政府の専利業務を管理する部門に処理を求めることができる。
二十三、第65条を第71条に改正し、次のように改正した。
専利権侵害の賠償金額は、権利者が権利侵害によって被った実際の損失又は侵害者の侵害行為によって得られた利益に基づいて確定する。権利者の損害又は侵害者の得られた利益を確定することが困難である場合、当該専利の使用許諾料の倍数を参酌して合理的に算定する。故意に専利権を侵害し、情状が重い場合は、上述の方法に基づいて算定した額の一倍以上五倍以下で賠償額を算定することができる。権利者の損失、権利侵害者の取得した利益、専利使用許諾料を確定することがいずれも困難である場合、人民法院は専利権の種類、権利侵害行為の性質及び情状等の要素に基づき、3万元以上500万元以下の賠償を認定することができる。賠償金額には、権利者が権利侵害行為を制止するために支払った合理的な支出も含むものとする。人民法院は、賠償額の算定のために、権利者がすでに証拠の提出に尽力しており、侵害行為に関連する帳簿、資料が主に侵害者が持っている場合は、侵害者に侵害行為に関連する帳簿、資料の提供を命ずることができ、侵害者が提供せず又は虚偽の帳簿、資料を提供した場合、人民法院は権利者の主張及び権利者が提供した証拠を参酌して賠償額を判定することができる。
二十四、第66条を第72条に改正し、次のように改正した。専利権者又は利害関係者が、他者が権利侵害行為を行っている又はまさに行おうとしていること、権利の実現を妨げることを証明する証拠を有し
ており、即座に制止しなければ、その合法的権益が補填不能な損害を被る恐れがある場合、訴訟を提起する前に人民法院に財産の保全、関連行為の停止或は関連行為をする措置命令を採るよう要請することができる。
二十五、第67条を第73条に改正し、次のように改正した。専利権侵害行為を制止するために、証拠が消滅する可能性ある又は今後は取得困難である状況において、専利権者又は利害関係者は起訴前に法に依り人民法院に証拠の保全を要請できる。
二十六、第68条を第74条に改正し、次のように改正した。専利権侵害の訴訟時効は3年とし、専利権者又は利害関係者が権利侵害行為及び侵害者を知った日又は知り得る日より起算するものとする。発明専利の出願公開から専利権付与までの間に当該発明を使用し、かつ適当額の使用料を支払っていない場合、専利権者が使用料の支払いを要求する訴訟時効は3年とする。専利権者は他者がその発明を使用していることを知った日又は知り得る日より起算する。但し、専利権者が専利権付与日以前に知った場合又は知り得る場合は、専利権付与日より起算する。
二十七、1条項を加え、第76条とした。医薬品上市の審査段階において、医薬品上市許可申請者と専利権者又は利害関係人が、登録を申請した薬品に関する専利権を巡って紛争が生じている場合、関連当事者は人民法院に訴訟を提起し、登録を申請した薬品の関連する技術方案が他人の医薬品専利の権利保護範囲内にあるかどうかについて判決を求めることができる。国務院薬品監督管理部門は規定された期限までに、人民法院の裁判に基づいて薬品の上市許可の遅延を決定する。医薬品上市許可申請者と専利権者又は利害関係人が、登録を申請した薬品に関する専利権を巡って紛争について、国務院専利行政部門に行政裁決を請求することもできる。国務院薬品監督管理部門は、国務院専利行政部門と連携して医薬品上市許認可と医薬品上市許可申請段階における専利紛争解決の具体的整合弁法を制定し、国務院の同意を得て実施する。
二十八、第72条を削除した。
二十九、第73条を第79条に改正し、第74条を第80条に改正し、その中の「行政処分」を「処分」に改正した。
本決定は2021年6月1日から施行される。『中華人民共和国専利法』については、この決定に基づいて修正を行い、条文の順序を調整し、公布する。
